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腸腰筋:エクササイズ

腸腰筋のエクササイズ指導で、

お客様から
「腸腰筋が良く分からないといわれる…」
実は、
「どうやって理解してもらうか分からずうやむやにしている」

指導方法で悩むトレーナー、インストラクターさんへ

①さくっと機能解剖を覚える
②感覚の入れ方
③エクササイズのコツ

この内容を実践するだけで腸腰筋の使った感覚がお客様と共有できます。
指導者の狙った効果が出せて、間違いなく信頼関係が深まります。

 

さくっと機能解剖

主な作用と、起始と停止を見ていきましょう!

腸腰筋の主な作用

腸腰筋のざっくり起始、停止

大腰筋と、腸骨筋合わせて腸腰筋と言います。

ざっくり起始停止
●大腰筋(だいようきん)
腰椎の横から脚の内側
●腸骨筋(ちょうこつきん)
骨盤から脚の内側

きっちり起始停止はこちらから

姿勢を安定させる、脚を上げる

腸腰筋の筋線維組成の割合はほぼ同程度
速筋線維が49.2%
遅筋線維が50.8%

腸腰筋は姿勢や関節を安定させておく役割と、瞬発的脚を上げる役割を兼ね備えていると言えます。

 

腸腰筋が重要なわけ

腸腰筋は、股関節と体幹をつなぐ唯一の筋肉です。脚を上げるという動きの他に姿勢を保持したり制御する働きがあります。

こんなお悩みとも関わりがあります

反り腰
前ももが張る
股関節の詰まり感
スウェイバック姿勢

姿勢にも、脚が太くなるという見た目にも、痛みなどにも関わりが深い重要な筋肉です。

腸腰筋と同じく股関節を屈曲する、大腿筋膜張筋や大腿直筋が優位になると
前ももの張り、外ももの張りに繋がります。

腸腰筋の弱化によるものが大きい原因です。

 

腸腰筋の硬さテスト

硬くなると詰まるような痛みや違和感を感じる方が多いです。

①片脚を抱える
②反対の脚をゆっくり下ろす
陽性:股関節が曲がる
陰性:股関節が真っすぐ伸びる

動画でチェック!

腸腰筋のストレッチ

イリーストレッチ
①片膝立ちで|骨盤後傾
②身体を前方にライド|後傾を維持したまま
③反対側に回旋する|骨盤は固定する

大腿内側の付け根と、骨盤~背骨を遠ざけることによりストレッチが入ります。
(起始と停止を離す)

 

腸腰筋とスウェイバック姿勢

腸腰筋は前側から支えるような役割があるので、弱化するとスウェイバック姿勢になります。

3人のパターンを見てみましょう。

ビフォーアフターで比べると、股関節の前面が伸びているのが分かりますよね。

 

腸腰筋と多裂筋

腸腰筋と対をなすように機能する多裂筋。
腸腰筋は前から支える、多裂筋は後ろから支えるというように作用します。

特に大腰筋の上部と多裂筋が姿勢保持機能のために重要とされています。

多裂筋の解説はこちらから

 

腸腰筋の役割まとめ

腸腰筋の役割をまとめると

①歩行、走行
②姿勢制御
③股関節の安定

となります。

 

腸腰筋のエクササイズ

「お客様が本当に腸腰筋を分かっているか曖昧」

このような指導者からのお悩みを沢山聞いてきました。腸腰筋は使った感が最も分からない部位と言っても過言ではありません。

 

腸腰筋の感覚入力エクササイズ

まず初めに腸腰筋の認知を高めていきます。

腸腰筋を刺激する際に考えておくべきことが、屈曲角度です。

腸腰筋が優位に働く屈曲角度

下のイラストを見てみましょう。

主に股関節屈曲に関わる筋肉

腸腰筋
大腿直筋
縫工筋

屈曲角度が強いほど腸腰筋の割合が強くなります。

腸腰筋の活性化エクササイズ①

イリーアクティベーション
①骨盤を前傾|座骨を転がすように
②片脚を引き付ける|腿と胸を付けるくらい
③脚を曲げていない側の腕を離して伸ばす
④反対の腕も伸ばす

このエクササイズのポイントは、最大屈曲に近い求心位で行うことです。

腸腰筋が優位に働きやすいポジションで開始することにより、他の部位を使う代償を最小限にします。

腸腰筋の活性化エクササイズ②

デッドバグ 2
①腹部を安定する|動画では腰部フラットですが、S字にて
②股関節を伸展|腸腰筋を感じながら
③股関節を屈曲|スピードをコントロール

※腰部をやや前弯で行います。

負荷が軽いエクササイズです。腸腰筋を感じて働きを高めていきます。

腸腰筋の強化エクササイズ

トライアングルシッティング
①骨盤前傾|座骨を転がすように
②上に伸びるように上方へ|エロンゲーション

エクササイズページで見る

活性化した腸腰筋を、このエクササイズで強化していきます。

デスクワークで腰が張るという方は腸腰筋や多裂筋が弱化して、脊柱起立筋が過活動しているパターンがあります。このエクササイズで座っている姿勢で腸腰筋の働きを高めます。

腸腰筋の等尺性収縮

シッティングフィックスドヒップジョイント
①骨盤前傾|座骨を転がすように
②上に伸びるように上方へ|エロンゲーション
③両手を伸ばす|腸腰筋の活動を高める
④上半身を股関節から倒す|限界付近でキープ

エクササイズページで見る

腸骨筋と大腰筋の活動を同時に高めて、姿勢つくりに役立つエクササイズです。

スウェイバック姿勢の改善に大変効果的です。

 

まとめ

①働きをざっくり覚える
②機能解剖を知る
③姿勢にも動きにも関わる
④腸腰筋は屈曲角度が大きいと働く
⑤硬い場合はストレッチで起始停止を離す
⑥活性化→強化→更に強化

まずはご自身の身体で感覚を高めていって、お客様と共感を高めていきましょう!大丈夫!

 

 

参考・引用文献一覧
左腸腰筋の機能不全により左大腿直筋の起始部の機能的インピンジメントが生じた一症例
骨盤大腿リズムにおける骨盤後傾量と大腿直筋の筋活動との関係
NEUMANN, Donald A.: 筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版. 医歯薬出版, 2018.
歩行と走行に着目した腸腰筋の役割 (特集 Inner & Intrinsic Muscles: 筋による関節の安定化, 姿勢調整機能を探る)
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版,株式会社医学書院,2017.
関節角度の違いによる股関節周囲筋の発揮筋力の変化
身体運動学 関節の制御機構と筋機能.株式会社メジカルビュー社,2019.

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