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骨盤底筋群:エクササイズ

骨盤底筋はとても重要!

これは十分に認知されていますが、なぜ重要なのか理解できていますか?
大丈夫です、順をおって紐解いていきましょう。

非常にデリケートな問題である尿漏れ

「尿漏れがあります」

このように正直に言っていただけることは稀ですが、
このようなデータがあります。

40歳以上の半数以上が経験している

尿漏れは良く聞きますが、
猫背などの姿勢やポッコリお腹などの体形に深く関わりがあります。

そんな骨盤底筋の機能を高める方法を覚えるために、

①さくっと機能解剖
②姿勢と骨盤底筋
③骨盤底筋のエクササイズ

という流れで見ていきましょう!

 

さくっと機能解剖

主な役割と、解剖を見ていきましょう!

骨盤底筋の役割

弱くなると、臓器を支えられない、尿漏れ、腹圧が高くならないことにより腰痛やポッコリお腹になる、と言えます。

骨盤底筋群の機能解剖

上記は代表的な骨盤底筋群の種類です。骨盤底筋群は細かく分けると十以上の筋肉があります。

骨盤底筋のざっくり起始停止

筋群といっていくつもあり複雑なのでここだけ抑えましょう!

ざっくり起始停止
坐骨~恥骨~尾骨

きっちり起始停止はこちら

骨盤底筋群の層

表層
外肛門括約筋や外尿道括約筋などの括約筋、
球海綿体筋や坐骨海綿体筋などにより構成される。
中間層
深会陰横筋、浅会陰横筋とともに会陰の横走筋を形成しており
(縦走筋は球海綿体筋と外肛門括約筋)、
会陰ならびに骨盤筋膜を支持して腹圧に対向する。
深層
尾骨筋と肛門挙筋(恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋)
により構成さる。
肛門挙筋の持続的収縮により尿生殖裂孔を閉鎖し、
骨盤内臓器の支持や排泄の禁制維持に関与する。

 

骨盤底筋群と姿勢

姿勢不良により、骨盤底筋群にかかる圧が偏り、
機能の低下が起こります。

骨盤のアライメントと骨盤底筋群

骨盤前傾位では、恥骨へ膀胱が押し付けられて前方の圧負荷が増大する。

骨盤底筋前部の弱化と後部の拘縮

前部に圧がかかり骨盤底筋群がたるみ、後部の外旋筋の拘縮により緊張します。

エクササイズプログラム
外旋筋群が硬くなり骨盤前方に圧がかかる→ストレッチ
内転筋群が弱くなり骨盤前方に圧がかかる→エクササイズ

不良姿勢と腹腔内圧の関係

ニュートラル姿勢
横隔膜と内臓が下降
骨盤底筋の圧抵抗腹腔内圧が上がる
前面が開いた姿勢
横隔膜と内臓が下降+骨盤底筋が圧に抵抗しない=腹腔内圧が上がらない

骨盤底筋群と横隔膜は床と天井ともいわれる、
対をなす筋肉です。

横隔膜と骨盤底筋群は、呼吸と密接な関係があり、連動して働きます。
吸気時に横隔膜が下がり、骨盤底筋群も下がることで腹圧を上げます。

呼気時には横隔膜が上がり、骨盤底筋群も上がることで
腹圧を下げる役割を担っています。

この連動により、姿勢の安定や臓器の支持、
排泄機能などが維持されています。

骨盤底筋群と腹腔内圧

●くしゃみをした際に尿漏れがあった方と健常者のコアユニットの変化
a)健常者
くしゃみをした際に骨盤底と腹部が内側方向に動く
b)失禁症例
くしゃみをした際に骨盤底と腹部が外側方向に動く

●腹部の筋肉と骨盤底筋群と腹腔内圧
c)機能的な骨盤底筋群
腹腔内圧を内側方向に維持することができる
d)機能不全の骨盤底筋群
筋のインバランスにより、腹腔内圧の下方への移動を生み出す

骨盤底筋群とコアユニット

体幹部の安定性に欠かせない筋肉があり、
四つ合わせてコアユニット(インアーユニット)と総称していいます。

横隔膜 (おうかくまく)
呼吸を助ける筋肉で、腹部と胸部の境目にある。
腹横筋 (ふくおうきん)
腹部の横方向に走り、腹圧を高める役割がある。
多裂筋 (たれつきん)
脊柱に沿って走り、背骨の安定に貢献する。
骨盤底筋群 (こつばんていきんぐん)
骨盤の底にり、骨盤を支え、内臓を保護する。

コアユニットの働き

体幹の安定
コアユニットの筋肉は、体幹を安定させ、姿勢を正しく保つ役割を担います。
姿勢の維持
コアユニットの筋肉が弱くなると、姿勢が崩れ、腰痛や肩こりを引き起こす可能性があります。
呼吸
横隔膜は呼吸に重要な筋肉で、腹横筋は呼吸と連動して腹圧をコントロールします。
腹圧
腹横筋は腹圧を高めることで、内臓を保護し、体幹を安定させます。

骨盤底筋群だけでなく、コアの働き全体を分析することで、
効果的なエクササイズプログラムを立てることができます。

骨盤底筋と内閉鎖筋

深層外旋六筋の一つである「内閉鎖筋」は、骨盤底筋群の中の腸骨尾骨筋という筋肉と連結しているため、内閉鎖筋を骨盤底筋群の一つに数えることもあります。

姿勢が崩れることで骨盤底筋の機能低下を招き、内閉鎖筋の機能にも影響します。
特に硬くなりやすく、後部の骨盤底筋の拘縮に繋がります。

内閉鎖筋は股関節を安定性させるうえでもかなり重要な筋肉なので、骨盤が過前傾している方は、まず骨盤のニュートラルポジションをとれるようにすることが股関節や骨盤底筋の機能を高めるうえでも重要です。

腸骨尾骨筋の起始部
内閉鎖筋筋膜で、
骨盤底筋群の中の腸骨尾骨筋という筋肉と連結しているため、
内閉鎖筋を骨盤底筋群の一つに数えることもあります。

骨盤底筋群のエクササイズ

骨盤底筋は肛門や膣を締めるようにすると収縮が入ります。

全てのエクササイズを通して、大殿筋がギュッと入る(お尻が硬くなる)状態を作らずに行います。骨盤底筋群は使っている感覚が難しいと言われますが、「大殿筋が硬くならないようにお尻を締める」と大体の方が骨盤底筋の働きが分かっていきます。

骨盤底筋群のエクササイズポイント

骨盤底筋群は骨盤の底から内臓を支えていますが、圧を逃がした状態で呼吸をすることにより意識づけが高まります。

刺激の種類は、
・ゆっくり肛門と膣を締める
・内圧を急速にかけて骨盤底筋群に刺激を入れる
で行います。

最終的には骨盤が直立(地面と垂直)した状態で機能を高めていくことが必須となります。
多くの方が直立状態での尿漏れや、ポッコリお腹などのお悩みがありますので、
そのようにプログラム構成をします。

骨盤底筋の活性化エクササイズ①

ウォールFMエレベーション
①壁に足を乗せる|腹部の緊張を抜く
②呼気時に肛門、膣を締める|挙上の感覚があるといい

腹部の緊張を極力抜いて、骨盤底筋の活性化を行います。緊張が抜けない方に対して有効なエクササイズです。

骨盤底筋群の意識づけとしてやりやすいエクササイズの一つです。

骨盤底筋の活性化エクササイズ②

エルボー4Pブリージング
①肘を付いた四つん這い|内臓を上げて骨盤底の圧を軽くする
②呼気時に肛門、膣を締める|挙上の感覚があるといい

このポジションでは、内臓が頭方に上がり、骨盤底への圧が軽くなります。

膝を付いていることで股関節周囲の活性もあり、骨盤底の収縮が行いやすくなります。

骨盤底筋の伸長~等尺性刺激

アダクターエクステンションビリティ
①膝立ちの開脚|全開脚手前
②膝を締める|内転筋の収縮
③体幹の前後スライド|内転筋の収縮を入れたまま

内転筋に伸長を入れることにより、骨盤底筋も伸長刺激が入ります。

つまり、骨盤底筋が引っ張られた状態で体幹部のスライドを行うことにより、様々な方向から内転筋~骨盤底筋に刺激が入っていきます。

骨盤底筋の圧抵抗エクササイズ

スパインPラピッドブリージング
①膝を抱えて|腹部の過緊張を抜いておく
②咳き込む|圧を瞬時に骨盤底筋にかける

瞬間的な圧抵抗が尿漏れなどの改善には重要となります。

瞬間的な負荷はシュッシュっという呼気より、咳き込むことで高くなります。

直立での骨盤底筋の活性化エクササイズ

PVNブリージング
①ASISと恥骨をニュートラル|地面と垂直
②股関節内旋|骨盤底の活性と、殿筋の過緊張緩和のため
③呼気時に肛門、膣を締める|挙上の感覚があるといい

尿漏れなどのトラブル改善のために、骨盤底筋に圧がかかる直立の姿勢で圧に抵抗して、引き上げる機能高めます。

ポッコリお腹の改善にも直立でのエクササイズは必須となります。

 

まとめ

①働きをざっくり覚える
②機能解剖を知る
③腹圧との関係が重要
④姿勢との関係が重要
⑤エクササイズは腹部の圧調整
⑥腹部圧を抜く、入れる、直立と刺激を分ける

 

 

参考・引用文献一覧
骨盤底筋トレーニングのための基礎と実践
骨盤底筋群機能 障害に対する評価とアプローチ
骨盤底筋群の収縮と股関節外旋筋との関係について
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論 / 運動器系 第 3 版

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