背骨の一番奥にあるインナーマッスル
こう聞いただけで重要なのが分かりますよね。
実際に、「腰が張る」「スウェイバック」といった、
多いお悩みと密接な関わりがあります。
①多裂筋の役割 ②多裂筋の簡単な機能解剖 ③多裂筋のエクササイズ |
と見ていきましょう!
Contents
多裂筋の役割
多裂筋の役割は、
①姿勢の安定性
②背骨の動きのサポート
となります。
多裂筋の機能解剖
多裂筋は、首から腰の脊椎の椎体をまたいでい付着する小さな筋肉です。
【多裂筋の働き】 両側の多裂筋が働くことにより腰を反る(伸展) 反対側の多裂筋が働くことにより脊椎のをひねる(回旋) 同側の多裂筋が働くことにより脊椎を横に倒す(側屈) 脊椎と脊椎同士を連結させ、脊柱を安定させる(固定性) |
多裂筋は「腰多裂筋」と「胸多裂筋」「頸多裂筋」の3つの筋肉に分類するとエクササイズの理解が深まります。
特に、仙骨から腰椎に付着する「腰多裂筋」は脊柱を支える(安定させる)ために非常に重要な筋肉となります。
多裂筋のざっくり起始停止
ざっくり起始停止 背骨の椎体を突起から上の突起へ、2~4個またいでついている |
簡単にまとめると
●背骨を動きや安定性にとても重要
●腰の多裂筋が重要
となります。
多裂筋と脊柱起立筋
下位腰椎では多裂筋よりも脊柱起立筋が大きくなっています。
多裂筋は深層筋で安定性で主に関与するので下位腰椎は動きよりも安定性の確保が重要といえます。
また、多裂筋は脊柱起立筋よりも起始停止が短いので、分節動作にも大きく関わります。
分節運動とは 体の各部分を独立させながらも連動させて、順序立てて滑らかに動かす運動 |
多裂筋とコアユニット
体幹部の安定性に欠かせない筋肉があり、
四つ合わせてコアユニット(インアーユニット)と総称していいます。
横隔膜 (おうかくまく) 呼吸を助ける筋肉で、腹部と胸部の境目にある。 腹横筋 (ふくおうきん) 腹部の横方向に走り、腹圧を高める役割がある。 多裂筋 (たれつきん) 脊柱に沿って走り、背骨の安定に貢献する。 骨盤底筋群 (こつばんていきんぐん) 骨盤の底にり、骨盤を支え、内臓を保護する。 |
コアユニットの働き
体幹の安定 コアユニットの筋肉は、体幹を安定させ、姿勢を正しく保つ役割を担います。 姿勢の維持 コアユニットの筋肉が弱くなると、姿勢が崩れ、腰痛や肩こりを引き起こす可能性があります。 呼吸 横隔膜は呼吸に重要な筋肉で、腹横筋は呼吸と連動して腹圧をコントロールします。 腹圧 腹横筋は腹圧を高めることで、内臓を保護し、体幹を安定させます。 |
多裂筋だけでなく、コアの働き全体を分析することで、
効果的なエクササイズプログラムを立てることができます。
多裂筋と姿勢
腰にストレスがかかる姿勢は、反り腰とスウェイバックタイプがあります。
この2タイプは多裂筋の働きが真逆になります。
姿勢タイプと多裂筋 ①スウェイバックは多裂筋の働きが弱く、関節や靭帯にもたれるような状態 ②反り腰は多裂筋の働きが過剰 |
多裂筋とスウェイバック
スウェイバックの姿勢を見ると、股関節が進展していますが筋肉の支えではなく、
関節や靭帯にだら~んともたれています。
これは、腰部を支える多裂筋と股関節屈曲に関わる腸腰筋の働きが弱化している、腹部の筋肉の弱化が考えられます。
足部にある固有受容器の弱化から姿勢の保持がフィードバックできていない可能性もあります。
多裂筋と反り腰
反り腰の姿勢では、多裂筋が過剰に働き短縮します。
多裂筋が過活動になり下部腰椎のストレスが強くなります。下腿の筋肉が緊張して可動域の低下から腰を反り、多裂筋が緊張するパターンもあります。
腸腰筋と多裂筋
多裂筋と対をなすように機能する腸腰筋。
多裂筋は後ろから支える、腸腰筋は前から支える、というように作用します。
特に大腰筋の上部と多裂筋が姿勢保持機能のために重要とされています。
多裂筋の機能と評価
多裂筋は短い筋肉で、椎骨を2~4個またいでいます。
ということは、背骨の分節運動にかかわります。硬いまたは機能低下をしている場合、分節運動ができないということになります。
分節運動 体の各部位を独立させながらも連動させて、順序立てて滑らかに動かす運動 |
多裂筋と分節運動
指導現場で迅速かつ“簡単”に評価する方法はいくつかありますがおすすめは、キャットカウと前屈です。
前屈を見てみましょう。
姿勢タイプは反り腰の方、腰が平らで分節運動ができていないことが分かります。
※指導現場では静止画ではなく動作を見ます。
立った姿勢と前屈を見ることで身体の状態の理解がより深まります。
右の前屈は股関節屈曲角度を変えて撮影しています。左の画像ではあまり分かりませんが、
右の画像では腰部の後弯が少なく、胸部の後弯が強いのが分かります。
一番深く下した前屈と、骨盤と頭部が平行くらいの位置での前屈パターン2つを撮影しましょう。
この映像は静止画ですが、動画も撮影しておくとお客様の客観的評価と進捗が分かるのでおすすめです。
腰椎後弯の可動性と多裂筋
多裂筋が硬くなる反り腰は腰椎後弯がでなくなります。
①股関節45度 ②片脚を抱える 陽性:脚が胸につかない 陰性:脚が胸につかない |
動画でチェック!
多裂筋の役割まとめ
多裂筋の役割をまとめると
①姿勢の維持 ②脊柱の安定性 ③動きのサポート |
となります。
多裂筋のエクササイズ
多裂筋は高い負荷や激しい動きで刺激を高めることはしません。
役割を見てわかる通り、姿勢の維持や動きのサポートで働きますからそのようにプログラムデザインをします。
多裂筋のエクササイズプログラム ①分節運動を入れる ②等尺性収縮を入れる ③仙骨の前傾を行う |
背骨一本一本動かす分節運動、
筋肉が力を発揮している状態(収縮)で、筋肉の長さが変わらない等尺性収縮(上のイラスト)、
仙骨を前傾するプログラムで多裂筋を強化します。
多裂筋のリリース
※多裂筋は弱く、硬い方が多いのではじめにリリースをご紹介します。
①股関節90度でローラーに乗せる|とにかくリラックス ②最小限の力でローラーを転がす |
腰背部が伸びを感じようにリリースします。
少しづつ可動域を広げていきます。
脊椎の分節運動
ペルビックチルト4P ①四つん這いで仙骨前傾|腰椎一つ一つ ②ニュートラルに戻す|無理に後傾しない 代償は胸椎の伸展が入りやすいので注意 |
負荷が軽い中での分節運動です。
丁寧にお手本を行い、動作のエラーを確認しながら行います。
多裂筋の等尺性収縮①
バックキックキープ ①四つん這いで片脚を上げてキープ|骨盤が傾かない ②姿勢をキープ|呼吸を止めない |
骨盤が傾かないように脚を上げることにより、回旋の負荷が入ります。
回旋に抗う抗回旋の刺激が等尺性で入り、多裂筋の活性化があります。
代償は、腰椎の前弯が入らないようにします。
多裂筋の等尺性収縮②
ダイアゴナルラテラルキープ ①四つん這いで対角の腕と脚を上げる ②上げたら斜めに開く|代償に注意 ③姿勢をキープ|呼吸を止めない |
バックキックキープのプログレッションとして行います。
腕と脚を上げる→腕と脚を斜めにする→キープ
とそれぞれで代償が起きないようにします。
多裂筋の等尺性収縮③
サイドブリッジ ①肩の下に肘、頭部から膝まで一直線 ②身体を上げる|顔、お臍、膝の間が一直線 ③ニュートラルのままキープ |
このエクササイズは肩甲帯の安定性も要求されます。
側臥位のエクササイズで肩甲帯の安定性が確認できてから行います。
仙骨の前傾①
シーソーペルビックチルト ①腸骨稜のラインにローラーをセット ②仙骨を前傾する ③ゆっくり戻す |
ローラーが転がるように行うことがポイントです。
ローラーが傾かないと仙骨前傾ではなく腰椎の前弯が過剰になります。
多裂筋に集中した刺激が入ります。
上背部に緊張が強いと脊柱起立筋が緊張しすぎ、優位になるので過緊張に注意します。
仙骨の前傾②
オンザヒップエクステンション ①ハーフカットのローラーに腸骨稜のラインくらいに合わせる ②膝関節90°で仙骨の前傾キープ |
ローラーが転がるように行うことがポイントです。
ローラーが傾かないと仙骨前傾ではなく腰椎の前弯が過剰になります。
キープして多裂筋の収縮を感じることができる、ここがポイントです。
まとめ
②機能解剖を知る
③姿勢の安定と動作のサポート
④分節運動ができること
⑤等尺性収縮と抗回旋のエクササイズ
⑤仙骨の前傾をおこなうエクササイズ
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